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アロマ新ブランド設立物語 Part 2

~ 新ブランドにおいて目指すこと ~



★「かっぱえびせん わさび味」にかかった「ミラクル」

先ほど、抹茶づくし」の例を持ち出しましたが、実は「かっぱえびせん わさび味」がなぜ売れたのか? にもヒントが隠されています。これは当初から気付いていた部分もあるのですが、時の経過とともに次第に明らかになってきた気がします。先にもおことわりしましたが、ここではマーケティングやビジネス的視点からの分析はバッサリ割愛しています。まったく精神面・感情面というワケわからん世界での雲をつかむような話です。

たしかに「かっぱえびせん わさび味」には売れる要素が揃っていました。また、その要素を生かして最高のものを作り上げていくノウハウ・実力も、当時の私や私の協力者にはあったと思います。しかし、モノが売れるという現象はそう簡単には起こりません。たとえば、コンセプトがニーズに一致していて、味もパッケージも広告宣伝も、その商品を表現するすべてがコンセプトをよく伝えた完璧なものであって、社内のムードも盛り上がって一致団結していて・・・といった基本要素が全部集まったとしても、イケるのは99%まで。あとの1%は、なにか別の力---言ってみれば「ミラクル」がかかる。その最後の1%があって初めて、ヒットするわけです。

この「ミラクル」は体験した人には「ああ、あのことね」と一発で通じるのですが、言葉で説明するのは非常に難しい。とにかく、我々のコントロールを超えたところからかかるパワーであり、それが「我々の力ではない」ことは明らかに感じ取れるという。ホントは「そういうものが働いたような気がする」という単なる妄想なのかもしれませんが、あの体験から私には「そういうものが存在する」と信じざるをえなくなっちゃったんです。

これに気付かなかったら、「ワタクシが、あの、かっぱえびせん わさび味をヒットさせた福島です」と、一生鼻高々、ゴーマンにやっていたかもしれません。想像するだけでサムイですけど・・・。

自分の実力や努力を超えたところに、なにか別のパワーが存在するのだ、という事実(私にとっては歴然とした事実だった)---このミラクルによって、人生観が少し変わったような気がしました。




ちなみに、私はこの「ミラクル」を、もう一度別の状況で体験しています。ちょっと中身は違うかもしれませんが、主観的には似たような感覚でした。

3年前、現夫ラースと何年かぶりで再会したボストンでの出来事。1週間のボストン滞在中に、私はどうしてもピアノが弾きたくなって、ラースに頼んで「シュタインウェイ」のショールームに連れていってもらいました。そこらに並んだアップライトピアノをいじくっていたら、営業のおじさんが出てきて「上にすごいイイヤツが入っているから、弾いてごらん」と2階に案内してくれました。ローズウッド(紫壇)で出来た立派なグランドピアノでした。「こんな立派なものに触っちゃっていいんですか?」と遠慮がちに尋ねると、さすがアメリカの営業マン、「どうぞどうぞ」と言うわけです。

営業マンのおじさんは「僕はランチしてくるから、好きなだけ弾いてていいよ」と席をはずしてしまいました。天井の高い立派なホールに、シュタインウェイのグランドピアノと一緒に取り残された私は、ラースを無視して、今まで弾いたことのある曲、暗譜している曲を片っ端からガンガン弾きだしました。さすがウン百万の高価な楽器だけあって、いい音がするので、弾いていてとても気持ちがいいわけです。

モーツァルトのソナタに差し掛かった時、「ミラクル」はやってきました。まるで自分の魂が宙に浮いてるような心地よい感覚、音楽と一緒に空中でダンスしているような。そして、私が奏でる音楽が今まで弾いたどんな出来のいい演奏よりも、美しく優しく、完璧なんです。自慢じゃないけど、私それまで「ノーミスで一曲弾き通せたこと」なんか一度もなかったのに、この時は詰まらんミス一つしなかった。ものっすごい快感でした。

戻ってきたオジサンは当然営業マンですから「このピアノを買わないか」と薦めるのですが、ウン百万単位の買物ですから、とても即決できるわけはありません。が、この時はすっかり舞い上がっていたので、かなり本気で「買おうかな」とか思ってしまいました(金はどこにあるんっつーんじゃ)。

ショールームを出たあとも興奮が覚めやらぬ私は、ラースに「ね、どうだった?」とコメントを求めると、彼は「うん、飛んでるみたいだった」と言うわけです。ちゃんと彼にも伝わっているんだっ!と、驚くと同時に嬉しくなりました。

この時、生まれてはじめて、私は「他人」を意識したような気がします。ピアノを弾いていてもいつもは自分のことしか考えていませんでした。リスナーのことなんか、頭の隅にも置いてなかった。
考えれみれば、ピアノだけじゃなくて、私は今までの人生、すべてが「自分、自分」であり、他人のことを他人の身になって考えたことなんか一度もなかったんじゃないかと。他人のことを考えるのは、「他人のことを考えてあげられる自分」のプライドを維持するためであり、「そのポーズを見せることによる他人からの評価期待」が混入していたり、モラルとして「他人のことも考えなくては」と自分自身に押し付けていたり、といった具合に、心の底から他人のことを考える、つまり、愛したことなどなかったのだ・・・ということに、いきなり気付いてしまったわけです。

なんて貧相な精神で今まで生きてきてしまったのだろう、恥ずかしい、と思いました。これこそ、「生き恥」ってやつだ。もう30年以上も生き恥さらしてきたわけです。


ピアノ演奏中に突然起こったミラクルと、その後の気付き。これがひとつの、なにか、キッカケにはなっていたように思います。今回の新ブランドのコンセプトにも関係してくることです。ついでに言うなら、ただのメールフレンドだったラースと結婚しようと思ったのは、このピアノ事件の後からでした。もっともこの時点ではまだ意識はしていなかったのですが、無意識レベルで「この人と一緒にいなくちゃ」と直観した瞬間だったのかもしれません。




というわけで、2つのミラクルは多少中身は違うのですが、共通するのは次のような点です。

    ①我々のコントロールを超えたところからやってくるパワーである
    ②これを体験したことにより、人生観への変化が起こる
    ③予期して起こることではないが、一定のものが揃った時にはじめてやってくる

三番目に関しては客観データ不足なので説明しきれないのですが、あのようなミラクルがやってくる時には「他のこと(現世的な与件)が出揃っている」という必要条件があるような気がします。「かっぱえびせん わさび味」の例でいうと分かりやすいのですが、その他のビジネス的、マーケティング的条件が揃っていなければ、絶対にミラクルはかからないわけです。

あのボストンでのピアノ体験の時に出揃っていた条件とは何なのか?というと、それまで毎日のようにピアノを練習していたこと(まじめに練習していなかったら、あんなことにはならなかった筈)、「ピアノを弾きたい!」という気持ち、楽器に対する敬意と賞賛(そりゃ、シュタインウェイのローズウッド造りのグランドピアノじゃ敬意を払わないワケにはいかないでしょう(^^;))、そこにプラス、ラースと再会したという要素も絡んでいたのではないか?と。

ホントに雲を掴むような話ばかりで恐縮ですけど、言葉で説明するのには限界があるんですけど、きっと同じようなミラクル体験をされた方もおられることと思います。


つづく・・・


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